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旅の終わり
第1章 生還 1
長い睫毛が揺れ、菫色の瞳がわずかに開かれた。その後、二度、三度、ゆっくりと瞬きをする。
「気がついたか。……よかった」
リエナは声のした方に眼を向けた。そこにはルークがリエナの寝ている寝台のすぐ横の床に座り込んでいた。リエナをじっと見つめる深い青の瞳には、安堵の色が浮かんでいる。
「ここは……?」
「ロンダルキアの祠だ」
「ルーク、わたくし……」
「ハーゴンの神殿を脱出したことは覚えてるな?」
「ええ。神殿が崩れ落ちるところまでは、はっきりと」
「お前が倒れたのはその直後だった。魔力だけでなく、体力も限界を超えたんだ」
「ルーク」
「うん?」
「わたくし達、目的を果たしたのよね」
「ああ」
「夢、じゃないわよね」
「ああ、現実だ」
それを聞いたリエナはようやく安心したのか、かすかに微笑みを浮かべた。
「これで、やっと……」
菫色の瞳に涙がにじむ。
「ああ、これから何もかも新しく始められる」
「あなたと、アーサーのおかげよ。わたくし一人では、到底成し遂げられなかったわ」
「お前ががんばったからだ。アーサーと俺は手助けをしたに過ぎないぜ」
ルークはリエナにいたわるような視線を向けた。
「まだあんまり話さない方がいい。アーサーも心配してたから、お前が意識を取り戻したことを伝えてくる。すぐ修道女殿に頼んで、手伝いにも来てもらうから。――着替え、したいだろ?」
リエナはルークに言われて初めて、自分が最終決戦の時に来ていたローブのまま寝かされていたことに気づいた。
「本当ならすぐに着替えさせてやりたかったんだが、お前のあの状態だと、下手に他人が触れると危ないと思ったんだ。風呂の支度も頼んでくるから、それまで寝てろ」
そう言うと、立ち上がった。
「……ねえ、ルーク」
「何だ?」
部屋を出ようとしていたルークはリエナを振り返った。
「また、ずっとそばにいてくれたの?」
「……ああ」
「ありがとう」
ルークは何も答えなかったが、リエナに不器用な、それでいて優しい笑みを向けると、扉を開けて部屋から出ていった。
********
ルークはまず、自分達が借りている部屋へ向かった。すこしばかり軋む部屋の扉を開けると、中ではアーサーが書き物をしている。彼の前に広げられているのは、見慣れた帳面だった。どうやら、記憶が鮮明なうちに、最終決戦の記録を書いていたようである。
アーサーは部屋の入口に立つルークの表情を見て、事情を覚ったらしい。若草色の瞳に穏やかな笑みを浮かべ、ルークに確認した。
「リエナが意識を取り戻したんだね?」
「ああ」
それを聞いて、アーサーは安堵の溜め息をついた。
「……よかった。今回はいつもより長くかかるだろうと覚悟はしてたけど、予想以上に遅かったから、心配してたんだよ」
「あいつの顔を見に行くか?」
「いや、今は遠慮しておくよ。もうすこし落ち着いてからにするから。僕が安心したってことだけ、彼女に伝えておいてくれ」
これはアーサーの心遣いである。リエナはまだ、最終決戦時のローブ姿のままのはずだから、湯を使い、きちんと身仕舞いを終えてからの方がいいだろうという判断だった。
「それもそうだな。意識を取り戻したとはいえ、まだ本調子には程遠いし。お前の伝言は伝えておくから」
ルークにもアーサーの心遣いはよくわかる。それだけ言うと、今度は修道女の姿を探しに行った。最初に台所に行ったが姿がない。次に居間の扉を開けると、修道女は長椅子にちんまりと座って、繕い物をしているところだった。
「リエナが意識を取り戻した」
「姫様が……! すぐに参ります」
修道女は思わず縫い物の手を止めて立ち上がった。
「リエナの風呂の支度を頼めるか。あと、着替えを手伝ってやって欲しい」
「かしこまりました。姫様のお顔を拝見しましたら、すぐに」
そう言うと、途中の繕い物もそのままにして、ぱたぱたとリエナの寝ている部屋に駆け込んでいった。
「リエナ姫様……、ようございました」
「もう大丈夫ですわ。――ご心配をかけました」
「何をおっしゃいますか……! すぐにお風呂の支度をして参ります。そのままお起きにならずお待ちくださいまし」
続いて部屋に入ってきたルークが、修道女に言った。
「その間、俺がリエナを見てるから」
「殿下、それでは、姫様をよろしくお願いいたします」
修道女はルークに頭を下げると、急いで部屋についている湯殿に入って行った。
********
「さ、姫様。支度が整いましたよ」
修道女が寝台で横になったまま待っていたリエナに声をかけた。
「じゃあ、俺が……」
ルークがリエナを助け起こそうとしたところで、修道女が遮った。
「いけません、ルーク殿下。私がお助けいたしますから」
それでもそばを離れようとしないルークを横目に見つつ、修道女はリエナを助け起こした。そのまま身体を支えて湯殿に連れて行こうとしたが、支えきれずによろけてしまう。修道女はふくよかな体格ではあるが、身長はほとんどリエナと変わらず、まだ足元の覚束ないリエナの杖代わりになるのはかなり無理があった。
「修道女殿、ちょっとどいてくれるか?」
ルークはそう声をかけると、二人の間に割り込んだ。
「リエナ、修道女殿では無理そうだ。俺が連れてってやるよ」
そのまま、あっさりリエナを抱き上げる。
「ルーク殿下……」
修道女はすこしばかり驚きを隠せない。リエナを抱き上げたルークには何のためらいもなく、ごく自然にそうしたから。そればかりか、横抱きにされているリエナも、素直にルークに身体を預けていたから。
ルークはリエナを軽々と抱いたまま湯殿に連れていく。修道女は慌ててリエナの着替えを持って後をついてきた。ルークは浴槽の傍らに置いてある椅子にリエナを腰かけさせると、修道女を振り返った。
「済んだら呼んでくれ」
まだぼうっとしていた修道女は、はっと我に帰るとルークに言った。
「姫様がお湯を使われている間に、殿下もどうぞ湯浴みなさってくださいまし。そちらの支度もしておきましたから」
言われて見れば、ルークも死闘を終えた時のままの姿だった。回復の呪文のおかげで怪我こそ既に癒えているものの、愛用の青い旅装束はぼろぼろになっている。ルークは今初めてそのことに気づいたように、苦笑した。
「確かにひどい恰好だ。……修道女殿、感謝する。じゃあ、俺もひと風呂浴びたら、またここで待ってるから呼んでくれ」
ルークが部屋を出ていくと、修道女はすぐにリエナの風呂の世話を始めた。そして、湯浴みを終え、新しい寝間着に着替えたリエナを湯殿に残し、ルークを呼びに行った。
「あの……」
自分も湯を使った後、部屋で手持ち無沙汰に外を眺めていたルークに、おずおずと声をかける。
「ああ、終わったのか?」
ルークは立ち上がると湯殿に入って行った。再びルークがリエナを横抱きにして部屋に戻った時、修道女の方はリエナの使っていた寝台の敷布を剥がしているところだった。
「殿下、申し訳ありませんが、そこの長椅子に姫様を座らせて差し上げてくださいまし。今すぐ敷布を取り替えますので」
「いや、もう俺達の部屋に連れていくから」
「それは、なりません。姫様には、ここでご養生いただきます」
修道女はきっぱりと言い切ったが、ルークが困ったように反論した。
「それじゃあ、修道女殿の寝る場所がなくなる」
リエナが意識を失っていた間に使っていたこの部屋は、実は修道女の私室である。ルークのいう自分達の部屋とは、この祠に一つだけあった空き部屋を三人が借り受けたものだった。三人が最終決戦を終え、リエナが意識を失った状態でこの祠へ戻った時、その部屋ではリエナが休まらないからと、修道女が自発的に、自分の部屋と寝台をリエナに譲ってくれたのだった。
修道女は最初にルーク達がこの祠に到着した時から、三人で同じ部屋を使うことに反対していた。妙齢の貴婦人がいくら旅の仲間とはいえ、異性と寝室を同じくするのはとんでもないというのである。修道女は、リエナだけでも自分の部屋でと申し出てくれ、祠守も、高貴な身分の男二人に自室を譲り、自分が空き部屋にと言ってくれたけれど、それではあまりに祠守と修道女に申し訳がない。それで、今までの旅の間は野宿続きで、たまに宿に泊れたとしても、三人同室だったのも珍しくなかったことを話し、ハーゴンの神殿攻略の話し合いを続けるためには、同室のほうが都合がいいからと、三人――特にリエナが押し切り、空き部屋を借り受けたのだった。
けれど今の状況では、もう同室にする理由はない。しかも、彼らが借りていた部屋は長い間使われていなかったため、碌に調度も揃わず、一つきりの寝台も古いものだったから、お世辞にもリエナの養生に適しているとは言い難かった。それに引きかえ、この修道女の私室なら専用の湯殿もあり、部屋の中も質素ながら居心地よくしつらえられている。修道女の言うことも、もっともなのである。
修道女はルークとリエナに向かって微笑んだ。
「私の心配でしたらご無用です。そこの長椅子で充分眠れますから。姫様のお世話をさせていただくのにもこの方が都合がよろしいですし。――では、私は替えの敷布を取って参ります」
そう言うと、ルークにこれ以上反論させる間もなく、剥がした敷布を抱えて、一旦部屋を出ていった。
ほどなくして、洗いたての敷布を持って来た修道女は、ルークがリエナを横抱きにしたまま立って待っているのを見て驚いた。思わず声をかけようとしたが、見ればリエナはルークの腕のなかで眼を閉じている。
「あの、姫様は……?」
修道女がためらいがちに話しかけると、ルークも小声で答えた。
「あっという間に寝ちまった。まだ意識を取り戻したばっかりだし、安心して、風呂にも入って、疲れが出たんだろう。このまま待ってるから、寝台を頼む」
「かしこまりました」
修道女は頷くと手早く寝台に新しい敷布を敷き始めた。支度が整い、修道女が振り向くと、ルークは何とも言いようのない眼差しで、自分の腕の中で眠っているリエナをじっと見つめていた。リエナも安心しきった表情で、安らかな寝息をたてている。
思わず修道女はその姿に見入ってしまった。
「ああ、支度できたか。――ありがとうよ」
リエナをずっと見つめていたのを修道女に気づかれたせいか、ルークは少々ぶっきらぼうに修道女を労った。その後、ルークがリエナの華奢な身体をそっと寝台に横たえるとき、すこしばかり名残惜しげに見えたのは、修道女の気のせいだったのだろうか。
「手間をかけさせたが、助かった。後は俺がついてる。何かあったら呼ぶから」
「いえ、私がおそばにつきます。ルーク殿下にその様なことはさせられません」
「俺が構わないって言ってるんだ」
「お言葉ですが、リエナ姫様のようなお若い貴婦人の看病を殿方にお任せするわけには参りません。姫様がお休み遊ばされているのでしたら尚更です。さ、殿下はお部屋の外でお待ちくださいまし」
ここまで言われてしまえば、ルークも引きさがらざるを得ない。修道女の言い分もわからなくはないし、ここが女性の私室である以上、ルークが無理やり居座るわけにもいかなかったのである。
「……仕方ない。その代わり、リエナが眼を覚ましたらすぐに呼んでくれ。アーサーのやつも心配してたから、リエナの顔を見せて、安心させてやりたい」
死闘の後、この祠に戻ってきてから、アーサーは碌にリエナの顔すら見ていない。意識を失っている間は、アーサーといえども、必要がない限り決してリエナに近づくことはしない。ルークの食事などもアーサーが運んでいたのだが、部屋の入り口で渡し、その時にリエナの様子をルークに確認するだけに留めていたからだった。
「かしこまりました。それでは姫様がお目覚めになりましたらすぐにお伝えに参ります。アーサー殿下にも、よろしくお伝えくださいまし」
「ああ、伝えておく。――修道女殿、くれぐれもリエナを頼む」
後ろ髪を引かれながらも、ルークは部屋を出ていった。
********
リエナは眼を覚ました。既に夜が明け初めているらしく、カーテンの隙間からほのかに朝日が射し込んでいる。
修道女に手伝ってもらって湯浴みと着替えを終え、ルークの腕に抱かれて、湯殿から出てきたところまでは憶えているが、その後の記憶がない。
(いやだわ、わたくし、そのまま眠ってしまったの?)
一気に顔に血が昇るのがわかる。それでも、リエナは自分を抱き上げた、ルークの力強い腕を思い出していた。
(いつもと同じ、とても、あたたかくて、安心できて……)
ゆっくりと身じろぎをしてみると、まだ身体は重いが、最初に意識を取り戻した時に比べ、ずいぶんと気分はよくなっていた。――無意識のうちに、自分の寝台のすぐ横の床に眠っているはずのルークの姿を探したが、いない。
いつもそばにいてくれたはずなのに、と言い様の無い寂しさがよぎる。
身体を起こそうと試みたが、それは無理だったので、すこしずつ、ゆっくりと寝返りを打ってみた。まだ薄暗い部屋を見渡すと、修道女が長椅子の上で、小柄な身体を丸くして眠っていた。あらためてよく見れば、自分が今寝ているこの部屋は修道女の私室である。
ルークがそばにいない理由は、これでリエナにもわかった。親切な修道女は、自分の看病のために、また、自分達が借りていた部屋で男二人と一緒では養生できないだろうからと、引き続き自分の寝台を提供してくれていたのだとも、理解できた。
リエナは修道女への感謝の気持ちを抱くと同時に、いいしれぬ寂しさに苛まれる。それでも、修道女の厚意を無にはできないし、ルークが修道女の手を借りることなく、自分の看病をすべてするわけにもいかないのは、リエナにもよくわかっている。
けれど、今は目的を果たした以上、ルークとの別れは間近に迫っている。そのわずかな残り時間、すこしでも長くそばにいたい――これが、リエナの偽らざる気持ちだった。
リエナは修道女に気づかれないよう、そっと溜め息をついた。
********
完全に夜が明け、修道女からリエナが眼を覚ましたと連絡があったルークは、すぐにリエナの病室を訪ねた。
「気分はどうだ?」
そう声をかけると、寝台のすぐ横の床に座り込んだ。ルークの眼には、リエナは充分に睡眠を取ったおかげか、昨日に比べてかなり回復してきているように感じられた。リエナも、ルークにいつもの笑みを見せている。
「もう大丈夫よ。心配かけてごめんなさい」
「謝る必要なんかねえよ」
「ねえ、ルーク」
「うん?」
「わたくしは、どのくらい意識を失っていたの?」
「丸一日、だ。今までで一番長かった」
ルークは一瞬遠くを見つめるような表情を見せた。
「リエナ」
「なあに?」
「すまなかった……」
「え? 何故謝るの?」
「お前が限界を超えて魔力を使い果たしたのは、俺に原因があるからだ」
リエナはゆっくりとかぶりを振った。
「そんなことはないわ。――あの時、あなたは……」
あの死闘を思い出したのか、菫色の瞳に恐怖の色が浮かぶ。それでも、リエナは言葉を継いだ。
「あなたは相討ち覚悟だったもの。わたくしにできるのは、あなたに回復の呪文をかけることだけだったから……」
「俺が地面に叩きつけられる寸前の、あの回復呪文のおかげで命拾いした。あれがなかったら、確実に俺も殺られてただろうよ。――感謝してる」
そう言って見つめてくる真摯な深い青の瞳を、菫色の瞳が受け止める。ルークはふっと表情を緩めると、立ち上がった。
「アーサーを呼んでくるから待っててくれ」
それから間もなく、アーサーがリエナの病室に姿を現した。ルークも続けて部屋に入ってくる。
「リエナ、もう大丈夫みたいだね。ずいぶん顔色もよくなってる」
「アーサー、あなたにも心配をかけたわ。――ごめんなさい」
「謝る必要なんてないよ。リエナがあの瞬間に、最上級の回復の呪文を発動できたからこそ、僕達はこうして生きて帰ってこられたんだから」
「アーサーの言う通りだぜ。さっき、俺も言っただろ?」
まだリエナは申し訳なさそうな表情をしていたが、やがてちいさく頷いた。続けて、アーサーが気遣いを見せる。
「リエナ、だいぶ元気になったのはわかる。でも、まだ無理は禁物だよ。いい?」
「アーサー、リエナにもっと言ってやってくれ。このお姫様は、お前の言うことは割と素直に聞くんだよな」
「あら、どういう意味?」
ルークの言葉に、リエナはすこしばかり不満そうだった。
「お前、俺には無茶するなって言うくせに、自分がいちばん無茶してる自覚が全然ないからだ」
「確かにね。ルークの言う通りかもしれない」
アーサーの口元に笑みが浮かぶ。続けてルークが、リエナに言い聞かせるように話し始めた。
「お前のことだ。すぐにでも帰国して、一日でも早くムーンブルク復興を始めたいだろうが、焦ってもどうしようもない。ここで無理をしたらまた身体を壊す。帰国すれば、当分の間はゆっくり休む暇もないだろうから、ある程度よくなるまでは、このまま養生させてもらおう。――いいな?」
「僕もその方がいいと思う。これからが本番だからね。今までももちろん大変だったけど、ある意味、もっと難しいから」
「ええ、そうさせていただくわ」
男二人の言葉に、リエナは素直に頷いた。
「じゃあ、僕はこれで部屋に戻るよ。ゆっくり休んで」
「ありがとう、アーサー」
アーサーはリエナに穏やかな笑みを向けると、立ち上がった。その時、扉をノックする音がして、修道女が扉を開けて入ってきた。
「修道女殿」
アーサーが声をかけた。
「はい、なんでございましょうか?」
「リエナはまだ養生が必要なようです。後ほど祠守殿にもお話しますが、しばらくこちらにお世話になると思いますから、リエナをよろしくお願いします」
アーサーが丁寧に頼むと、修道女は恐縮したように答えた。
「アーサー殿下、もったいないお言葉ですわ」
「何かありましたら、遠慮なくルークを呼んでやってください」
「お気遣い、感謝いたします。ですけれど、リエナ姫様のお世話は私の仕事ですわ。ルーク殿下にそのようなことはさせられませんもの」
そう言うと、修道女はいそいそとリエナに近づいていき、ルークを押し退けんばかりに、リエナに気分はどうか、何か食べたいものはないかなどと、早速世話を焼き始めた。反対にルークは、明らかに不満げな顔をしている。ようやくリエナとゆっくり話せるはずだったのに、それができず、また修道女が献身的に看病をしてくれているのがわかる分、文句も言えないから、余計に不服らしい。
アーサーはそんなルークと修道女の様子を見つつ、すこしばかり困惑した顔を見せると、部屋を後にした。
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