desafinadoの蛍さまより、素敵なイラストを頂戴しました!
とにかくご覧くださいー!
なんとアナログ水彩画です!!!
美しすぎて溜め息しかありませんよね。
淡い水彩に、金色のポスターカラーで描かれた文様がまるでクリムトの作品のような美しさです。
この作品は、昨年オフ会でご一緒した際、ずうずうしくもスケブをお願いして、後日わざわざ送っていただいたものです。以前蛍さまのTwitterでもアップしてくださっているのですが、こちらの完成形ではさらに金色の文様の描き込みを増やしてくださっています。
ゆったりと包み込むように抱きしめるルークの表情と、こちらを向いているリエナの表情から色々と二人の心情を考えていました。
リエナのどことなく不安げな表情、けれどルークには見えていない……その構図から、今回のお話を思いついたんです。
今回もご許可をいただけましたので、ちいさなお話を書きました。リエナ視点です。
短く、拙い文章ではありますが、今回は自分が書きたいと思える文章に仕上がりました。素晴らしいイラストに添えてすこしでも楽しんでいただけたら幸いです。
蛍さま、素晴らしいイラストをありがとうございました!
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このぬくもりを
「リエナ」
呼ばれた瞬間、リエナはルークの腕の中にいた。
「ルーク……」
すこし驚いてルークを見上げると同時に、熱い唇が重ねられた。
ルークはよくこうして突然触れてくる。けれどリエナはまだ慣れることができないでいる。決して嫌なわけではない。それどころか、こうして強引とも思えるほどに求められることこそ、リエナにとっては深い歓びなのだから。
華奢な身体を抱き籠めたまま、ルークはリエナを翻弄し続ける。想いが通じ合った今、自身の気持ちを抑える気などさらさらない。リエナも知らず知らずのうちにそれに応えていく。
ようやく唇を離したルークが、一つ息をついた。あらためて豊かにうねる巻き毛ごと包み込むように抱きしめる。リエナの鼓動はまだ早鐘を打っている。それを気づかれたくなくて瞳を閉じ、そのままゆったりと身体をあずけた。
しばしの間、抱き合ったまま息を整える。ルークは腕の中にいるリエナを見下ろした。リエナの表情はわからないけれど、こうして自分にすべてをゆだねてくるのが愛おしくてたまらない。
やがて金色の長い睫毛が揺れた。ゆっくりと菫色の瞳が開かれる。けれどそこに滲むのは、どこか不安げな、色。
幸せに満ちているはずの瞳は今、ルークの方を見ていない。
――こんなにも、あたたかいのに。
――こんなにも近くにいるのに。
リエナの心に浮かぶのは、やがて来る別離の日。
この旅が終わったら――
一つ瞬きをして、リエナは瞳を閉じる。
――もうそばにいることは、かなわない。
事実を突き付けられて、リエナは自問自答を繰り返す。
ずっとルークのそばにいたい――決して許されない想い。けれどそれこそが、旅が始まった日の夜、初めてルークへの想いを自覚した時からの変わらぬ願いだった。
抑えても抑えてもあふれ出る想いのつらさに、思わずリエナはルークの胸に顔をうずめた。必死で涙をこらえようとして、華奢な身体を震わせる。
「どうした?」
しなやかな髪を撫でながら、ルークが問いかけた。
「……なんでもないわ」
リエナは顔を上げずに答えた。瞳の端にほんのわずかに滲む、涙の痕。けれどルークはそれに気づけずにいる。
ルークはリエナを安心させるかのように、頬に手をかけ、自分に向かわせる。その時には既にリエナの涙の痕は消えていた。
どこか憂いを帯びたリエナの菫色の瞳。
ルークはその美しさに抗えず、再び唇を重ねた。リエナが不安に駆られている理由など、知る由もなく。
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