2009年にDQ2とロレムン再燃後、リエナのキャラが確立したころから、管理人がずっと持っているイメージがあります。それは、「月の女神」と「満月を象徴するもの」の二つです。

 当サイトでは、ムーンブルク王家は、古の月の神々の末裔であり、現在も月の加護を受ける一族と設定しています。

 「月」から連想される神秘性と、「満月」であることから、リエナが非常に恵まれた資質(強大な魔力や、類稀な美貌など)を持ち、古の月の神々からとりわけ愛されている王女である、そういう意味も籠めました。

 リエナのフルネームは、リエナ・アルフォンシーヌ・ディアナ・ムーンブルクですが、サードネームの「ディアナ」はローマ神話の月の女神の名前から取ったものです。ちなみに、「リエナ」は曲のタイトルから、「アルフォンシーヌ」には意味はなく、ファーストとサードが短いので、なるべく長くて優雅なフランス語名がいいな、と選びました。

 ただ、今回この語りを書くにあたってもう少し調べてみると、ディアナは確かに月の女神でもあるけれど、もともとは狩猟の女神らしいですね。神話関連にまるっきり疎い管理人は「ディアナ=月の女神」だと思い込んでいたことと、音の響きが好きなので、これを採用したのですが、個人的にはリエナのイメージに合っていると思うので、気に入っています。

 なお、管理人の捏造設定では、ロト三国の、王位継承権第一位の王子・王女は、サードネームがあります。ルークがアレフ、アーサーがランバート、そしてリエナがディアナ。この名前は同時に、即位後の王名でもあります。例えばルークの場合、お父さんはアレフ11世ですから、彼が即位後はアレフ12世を名乗る、ということになります。

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 リエナは、最初は何もかもを持っていました。

 古の月の王国であるムーンブルク王家の第一王女として生まれ、「月の女神の再来」とまで讃えられるほどの神秘的な美貌と、類稀な魔力を持ち、また15歳で、ローレシアの王太子であるルークとお見合いをして、お互いに一目で恋に落ち(二人ともが無自覚でしたが)婚約内定。政略結婚が当たり前の中で(実際にはこれも一種の政略結婚ではありますが)幸せな未来を約束され、誰もがうらやむほどの人生を送っていました。

 それが、あの日、何もかもを失いました。

 ラーの鏡によって呪いが解けた後、リエナが何を思ったのか。これについては、いずれ書きたいと思っている原作沿いのお話に出てくる予定ですが、ハーゴンの呪いによって犬の姿になっている間、リエナはムーンブルク襲撃時の記憶を失っていたのではないかと、管理人は考えています。何故ならハーゴンはリエナの強大な魔力を恐れ、魔力と同時に、記憶――魔法についてのあらゆる知識も含めて――を封じたからです。

 それが、呪いが解けた瞬間、すべてが蘇りました。阿鼻叫喚の城内の光景、自分を守るために生命を落とした大勢の騎士達、そして兄王太子と、父王の姿も。けれど、リエナはそれに耐え切り、自らの手でハーゴンを倒し、ムーンブルクを復興させることを誓ったのです。何がそこまでリエナを駆り立てたのか。この辺りの彼女の心の動きについては、すこしずつですが、固まってきました。恐らくは、それが「自分の使命」であると考えていたのではないか、今のところ、管理人はそう考えています。

 リエナは、「犠牲」を厭います。それも、「自分のために払われる犠牲」を、です。これは言うまでもなく、ムーンブルク襲撃の際、兄と父王が自分を守るために相次いで眼の前で生命を失ったことからきています。旅の間も同じで、ルークが自分を庇い続けていることを、ずっと負担に感じていました。当サイトの作品『傷跡』で、リエナはルークの傷跡を見て、自責の念から急に泣き出しましたが、ルークにとっては、リエナを庇うことはあまりにも当たり前であり、何故彼女がそこまで過剰反応を見せたのか、本当の意味では理解できていません。しかもこの後もずっと、それこそ旅を終えた後ですら、理解できないままでした。

 ルークにとってリエナは、「自分の生命に代えても守るべき女性」です。これは、ルークがリエナを深く愛しているからですが、理由はそれだけではありません。リエナは強力な魔法使いであっても、肉体的にはごく普通の女性に過ぎず、重い防具や盾を装備することもできません。反対にルークは少々の(相当の?)無理をしても、耐え切るだけの頑健さを持っていますから、この点からも、ルークは当然のように――それこそ、呼吸するのと同じ感覚で――守り続けているのです。そのため、ルーク自身には、「自分がリエナの犠牲になっている」という意識はまったくありません。けれど、リエナはずっと自責の念を抱き続けている――二人の考え方の違いから、お互いをこの上なく大切にも思っているにも関わらず、結果としては、気持ちがすれ違ってしまっています。

 このことは、実はずっと後にもある事件を引き起こす原因の一つにもなっています。これについては、エンディング後の長編で書く予定でいます。

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 しばらく前に気づいたのですが、どうも管理人のDQ2の世界は、すべての物語が、リエナとムーンブルクを中心に動いている気がしてなりません。

 もちろん原作ゲームでは、主人公はローレシアの王子であり、また管理人自身も、2トリオが三人揃って、主人公であり勇者である、と考えているのも事実なのですが、当サイトでは、三人の中で一人だけ主人公を選べ、と言われたら、答えは間違いなくリエナです。

 これは、当サイト名にも表れています。「Violet eyes」は、その名の通り、リエナの菫色の瞳からとりました。正直なことを言えば、サイト開設の時にはそう深い意味はなかったのですが、ずっとお話を書き続けていて、管理人の世界観では、リエナが中心であることがだんだんとわかってきました。

 ですから、今回、蛍さまにイラストを頂戴した時、リエナが中心にいる構図に驚き、またとてもうれしく思ったのです。

 管理人がお話で書きたいことはたくさんあります。その中でも特に、リエナの心情は細かく表現したいですね。あまりに突然、不幸のどん底まで叩き落とされたがゆえに、持ってしまった自責の念と自己否定の感情。これをどう克服していくか、またルークもどれだけリエナの心情を理解できるようになっていくかが、自分にとっても大きなテーマですから。

 それ以外にも、リエナのルークへの抑えきれない愛情も、神秘的な美しさも、年齢相応の可愛らしさも、もちろん、思いっきりらぶらぶなロレムンもです。

 自分の拙い筆でどれだけできるかはわかりませんが、これからも精一杯の作品を公開していきたいと思います。

 長文なわりにあまり語りっぽくありませんでしたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。



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