そらだら そらはちさまに 当サイトのトリオを描いていただきました!
うちのトリオ、そのものです!
あせりながらも、とてもいい雰囲気のルークとリエナの二人、対照的に余裕たっぷりのアーサー!
ロレムン二人はもちろんのこと、特にアーサーの表情や仕草はもう彼そのままで、思わず見入ってしまいました…!
とても素敵な台詞までが添えられていて、拝見した瞬間、ぱっと情景が広がりました。
うれしくてたまらず、台詞も使わせていただいて、ちいさなお話をつけさせていただきました。
そらはちさま、本当にありがとうございました!
***
情報収集を終えたアーサーは、宿の部屋の扉を開けた。
(珍しいな、まだ戻っていないのか……)
部屋の中は無人だった。ルークとリエナは自分より先に出かけたし、用事はいつもの道具屋と食料品店での買い出しだけだから、とっくに帰ってきていると思ったのである。
もうかなり日も傾いている。いつもならリエナは夕食の支度を始める頃だろうが、あいにく今夜の宿には厨房がない。自分が戻ったら、三人で街の食堂に出かける約束をしているのである。
(まあいいか。たまの二人きりの機会を邪魔するのも野暮だしね)
まだ夕食までしばらく時間がある。アーサーは机に向かうと、情報を整理し始めた。
***
(今日のところは、こんなものかな)
アーサーは帳面とペンを片づけると、窓の外に視線を移した。いつの間にか、夕闇の迫る時刻になっている。
ルークとリエナはまだ戻らない。剣技の達人と強大な魔力を持つ魔法使いの二人であるから、何か面倒事に巻き込まれる心配は無用だけれど、あまり遅い時間になってからリエナを連れて歩くのは、できれば避けたい。
(仕方ない。一応、探しに行こうか)
ちいさな溜め息を一つついて、アーサーは部屋を後にした。
***
(さて、二人はどこで道草を食っているんだろう)
確か宿の裏口に続く木製のテラスからも街に出られたはずである。そんなことを考えつつ、アーサーは宿の裏手に回った。
テラスに一歩足を踏み出そうとしたところで、思いがけず聞き慣れた仲間二人の声が聞こえてきた。
(あれ……?)
如何にも楽しそうな二人の声に、アーサーの顔に思わず笑みが浮かぶ。そっと様子を窺ってみると、二人はくつろいだ様子で向い合せに腰を下ろし、おしゃべりに興じているところだった。
リエナは明るい笑みを見せていた。その輝くような笑顔の可憐さに、リエナを見慣れているはずのアーサーも目を瞠っていた。
(恋する乙女そのものの表情……だね。でも、ルークのやつはそれに気づいてないんだから。可愛くて見惚れてるばっかじゃ、進展しないのも無理はないか)
ルークの方はと言えば、予想通り、うれしそうに見惚れていた。
(やっぱりね。心の底から幸せそうな顔してるよ)
せっかくの二人の時間を邪魔するのは忍びないが、アーサーは二人に声をかけることにした。これ以上覗き見をするのも申し訳ないし、気配に敏感なルークに先に気づかれて後から盛大に文句を言われるのも割に合わない。
「ルーク!」
思いもかけない方向から聞こえてきた声に、ルークがびくりと反応した。
「アーサー!」
リエナもはっとしたようにアーサーに視線を向けた。柔らかなプラチナブロンドの髪がふわりと揺れる。
「そろそろ、夕食の時間だよ」
「……お前、いつからそこに?」
明らかに焦っているらしいルークの声は、すこしばかり上ずっている。その様子に、アーサーはちょっとからかってみたくなった。
「いつって……」
アーサーはゆったりと手すりに寄りかかり、おもむろに頬杖をつくと言葉を継いだ。
「うーん、ルークがリエナの事を……って辺りから」
そう答えるアーサーの顔には、いつもの笑みが浮かんでいる。
(ど、どこだ?)
(かなり最初の方……?)
ルークとリエナはそれぞれ会話の流れを思い出そうとしていた。無意識のうちに、何かとんでもないことを口走っていないか、必死に記憶をたどっていく。
もちろん、実際にはアーサーはつい先ほど来たばかりであるから、会話の内容など何も知らない。内心で笑いをかみ殺しつつ、テラスの階段を下りて二人に近づいてきた。ルークもリエナも驚きと照れくささのせいか、まだ地面に座ったままである。
「あ、ああ。……そういや、腹、減ったな」
ルークはようやく腰を上げた。
「そ……そうね」
リエナも立ち上がると、そっとローブの裾を直した。
「じゃ、行こうか」
まだ固まっている仲間二人を横目で見ながら、アーサーは先に立って歩き始めた。
( 終 )
戻る